【ご報告 子どもの生活と声を知るー鶴見からはじめようー】
少し日があいてしまいましたが、9月24日に実施した講演会のご報告です。
場所:ココファン横浜鶴見 参加者数:59名 ご参加いただいた方からのコメントの一部 そして 今年、大学を卒業して千葉県のある市の社会福祉協議会に入職した若者から 心のこもった感想文をいただけたのでその全文 さらに 最後に、今回の講演会を企画したサードプレイス代表の須田の実施に込めた思いを書きたいと思います。 ぜひお時間のある時に最後までお目通しいただけると嬉しいです。
***** コメント
・なかなか進めることが難しい、地域を巻き込んでの子どもの貧困対策。現代における「相対的貧困」の理解を拡げることができた。 ・公益財団法人あすのばが実施した1500人アンケートをもとに、子どもたちが伝えたい「声」を知り、大人である自分たちに何ができるかを考える時間となった。 ・連携して子どものための地域資源をさぐっていきたい ・現状をもっと多くの人に知って欲しい など、アンケートにも多くのコメントをいただきました。 ・もっと鶴見の実態を知りたかった など、期待に沿えなかった点については再度現状を調べて発信していきたいと思います。
鶴見区における、「子どもの貧困率」「虐待対応相談件数」「ひきこもりに関する件数」「いじめ対応件数」「日本語習得サポートが必要な外国ルーツの子どもたちの数」など
***** 神奈川新聞に記事が掲載 ◆「子どもの貧困『つらい子ほど声上げられぬ』横浜で講演会」 http://www.kanaloco.jp/article/362113
***** 若者がこころのこもった感想を送ってくれました
[感想] ・自分はまだ大人になりきれていない子どもだと思った。今日の講演を通して、1人の大人としての自覚と焦りがこみ上げてきた。 ・出会う人々に恵まれ何不自由なく暮らしてきた自分は偽善者なのだろうか…という気持ちがまた生まれた。でもここで立ち止まったら本当の偽善者。周りの人への恩返し、社会への恩返し。少しでも誰かの笑顔に繋がれば。 ・「NPOって怪しいんじゃないの?」っていう声を時々聞く。学習支援の希望者が多かったり、中学校側から声が掛かったりと信頼とネットワークを広げていてすごい。その中学校はどうやってサードプレイスさんを知ったんだろう。 ・国の政策改善や自治体支援だけでなく、NPO等支援の仕組みを考案したのは小河さんら現場の人。何かを変えたいなら、現場の声は必ず。 →ポイントは1%も税金を入れず、民間から寄付を募ること。その理由は、補助金はどうしても対象が限られるため当てはまらない子どもが出てしまうから。やはり社会福祉協議会でも自主財源は必要。 ・高齢者、障害者等の支援者→子どもは理解してもらいやすいから良いよね。子ども関係者→高齢者、障害者は制度もしっかりしてるし自己責任論がないから良いよね。と言った風潮があると感じた。良いところを真似できるよう、分野を超えて悩みを共有できれるような場を作りたい。
[これから注意したいこと] ・貧困はない!と思うのはなぜだろう。貧困=絶対的貧困というイメージが強いから? 貧困はあるんだ…と気付く契機はどうしたら?メディアじゃやはり他人事になりがち。今日のような現場の声、学生の生の声が聞ける機会は大事。 ・宣伝しているけれど「もっと宣伝した方が良い」と一般的に言われるのはなぜか?子どもの未来応援基金が「もっと宣伝した方が良い」と思ってもらえたポイントはどこ? ・活動をPRしたり寄付を募る上で、「子どもの貧困」の対象とされる親や子どもはどう感じるのか気にかけることを忘れてはいけない。「対象者」を勝手に決めない、勝手に壁を作らない。それは子どもだけでなく、全てに言えること。 ・声をどう扱うか。一つの言葉にも様々な解釈がある。その人がどんな思いで発した言葉なのか、その部分を注目する。これは、誰に対しても同じ。
[子ども支援に関してこれから自分にできること] ・地元の子ども支援団体の情報をキャッチし、できることに参加する。 ・今は直接子どもと関わってはいないが、人々の人生に触れ生きる権利を守る仕事をしている。その役割の一つとして、生活の中で必要なお金のやりくりのお手伝いをしている。20代〜90代まで利用者はおり、それぞれ必要としているものは異なる。共通しているのは、周りにサポートしてくれる親族がいない、またサポートできる状況にないため、このサービスを利用しているということ。 父親から母親への暴力をずっと見てきて、心に傷を負った若者もいる。心の不安定さからお金を使い込んでしまうことがあるため、お手伝いしている。知的障害の母親と、精神疾患の息子の2人世帯での支援もある。公共料金の支払いもできず、滞納がたまっている。ライフラインを確保するためのお手伝いをしている。 あくまでも今は「お金の面」でお手伝いをしているが、生活の背景を大切にしている。そして、この方々の子ども時代に目を向けると「孤立」が見えてくる。今同じような状況にある親子には何ができるのか、自分が働く地域にはどんな地域課題があるのか、しっかりアンテナを張っていきたい。
***** 最後に代表 須田の実施に込めた思い
今回の講演会は、「子どもの貧困」という社会課題をテーマに企画をしました。 鶴見で、NPOでこのテーマで講演会をするというのいうのは、サードプレイス設立当初からの、ある意味で悲願でもありました。
というのも、サードプレイスを設立するために鶴見区内を走り回っていた2年前。
ある地域の自治会長(とってもチカラをお持ちの方)に、子どもの貧困の課題に取り組むNPOを立ち上げようと、この地域でも取り組みを進めようと考えていますと話にいったところ 「この地域に貧困の子なんていない!」 「6人に1人が貧困?そんなでたらめな数字を誰が信じるか!」 「お前はこの地域を貧困地域だって言いたいのか!」 「貧困を騙って仕事がしたいだけだろ!この詐欺師が!」と 大叱責を受けました。 当時の私の説明の仕方にも工夫の余地はあったなと反省していますが 地域の代表の方の認識がこれでは、その地域でしんどさを抱えている子どもや親たちはもしかしたら、誰にも助けを求められないのでは?と。
貧困=絶対的貧困 という認識ではなく、現代における子どもの貧困の問題は「相対的貧困」ということを もっと鶴見区内の多くの人に知ってもらわないといけない。と強く感じました。 そして、2年かかってしまいましたが ようやく今回、公益財団法人あすのば 代表理事の小河さんをお招きして 鶴見区内で「子どもの貧困」を理解するための講演会を実施することができ
しんどさを抱えている子どもたちやその親御さんたちの声を届けることができました。 ご参加をいただいた参加者様からのアンケートには 細かい字でびっしりと感想を書いてくださる方がとても多かったです。
少しずつでも、確実に 「広がっている」「伝わっている」と実感できました。
いきなり問題がすべて解決するといった魔法はありません。
一つずつ、できることと必要なことを積み重ねていきたいと思います。
引き続き、応援をよろしくお願いいたします。
特定非営利活動法人サードプレイス 代表理事 須田洋平